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事例2.帆船「海王丸」で特別見学会を実施

1.概要

2008年11月6日(木)、独立行政法人 航海訓練所のご協力のもと神戸港第一埠頭に着岸中の帆船「海王丸」において、神戸大学発達科学部附属住吉小学校の6年生・全3クラス(115名)を対象に、2班に分かれて、それぞれ約1時間の特別見学会を行いました。この中で国枝船長から航海訓練の様子などに関する講話を受けたほか、子供達は実際に帆を広げる作業(展帆作業)や椰子の実を使った甲板磨き作業なども実体験しました。 jirei_02_img_02.jpg

2.参加した子供達の感想

参加した児童から、感想が多数寄せられました。以下はその一部です。

  • 最後に船長さんが言った「自然は、本当の先生」という言葉を聞いて、海王丸の乗組員は全員自然を大切にしようとしているすごい人たちだと思いました。
  • 海王丸を見学してみて、海はとても危険なところだと思っていたけど、楽しいところでもあると知りました。セイル張りや甲板磨きなどを通じて、協力すると一人では大変なことが楽しくできることがわかりました。船の上だけでなく、普段にも生かせる心得や技術なども学べてよかったと思います。
  • 今までよく知らなかった船について、知ることができとてもおもしろかったです。また、エンジンを使わないところがエコだと思いました。
  • 海王丸の見学で、船の旅の様子がよくわかりました。朝から晩まで船に乗り、どんな生活をしているのだろうと考えていました。でも、みんなが協力して頑張っている生活を見ると、乗ってみたいと思いました。
  • 今まで全く興味のなかった航海や船員の人たちの仕事に興味を持つことができました。
  • 神戸はとても海に近い街です。私も、海ととても近い人になりたいと思います。
  • ビデオでの解説はとてもよくわかりました。
  • 展帆作業は小さな力なのにこんなにも大きなものが張れるんだと、感動しました。船を身近に感じることができたと思います。
  • 体験で「オ~」と思ったことは、ヤシの実での甲板磨きです。やっぱり、雑巾と一緒で足腰を使うからけっこう疲れます。それを、朝早くからかなりの時間を使ってやっている実習生はすごいなと思いました。ぼくも、雑巾で頑張ります。
  • 一番、私がこれから生かしたいことは、実習生のように、あきらめず、決めたことを一生懸命になって最後まで頑張ることです。
  • 36枚もの帆が空に上がり、みんなのエネルギーを積み込んだ、私が見ることのできなかった「生きた海王丸」を見てみたいと思いました。どのような姿で出港するのか、どのような姿で海を走っているのか。乗っている人が違うと違う海王丸になります。この船に乗ってみて、自分のやりたいことをもっと見つけていきたいと思いました。船に乗っている人は海王丸が好きだから、海王丸は動くのだと思います。私のやりたいことはまだ分からないけれど、たくさんのことにチャレンジしていきたいと思います。
  • 海王丸に乗ったことで、海の上で生活するという厳しさや、船で自然を感じる楽しさを知ることができて良かったです。
  • 船の種類や船員の仕事を知って、船も電車や飛行機と同じくらい大切で、私たちの暮らしを支えてくれていることをありがたく思いました。
  • 体験作業は一つ一つ楽しむことができたけれど、毎日あの作業をしている乗組員の人はすごい大変だなぁと思いました。でも、楽しそうで、少しかっこいいなぁとも思いました。

3.教育効果に関する調査

(1)調査方法

この特別見学会における体験が参加した児童に与えた影響を調べるため、神戸大学が試行的に「海のイメージ調査」を行いました。この調査は、参加した児童に「海」という言葉から思い浮かべることを参加前と参加後にそれぞれ記入してもらい、その比較を通じて、体験が児童に及ぼした影響をみるもので、「自由連想法」と呼ばれる手法に基づいています。今回の調査では、参加した小学校6年生の男女113名を対象に実施しました。

「自由連想法」とは

絵や言葉から連想することを言ってもらい、潜在意識を調査する手法です。もともとフロイトの精神分析の自由連想に由来します。

統計調査などで使われる調査方法の一つで、内容に制限をつけないで行う手法を「自由連想法」、制限をつけるものを「制限連想法」といいいます。また、1つの刺激に対して1つの連想をするものを「個別連想法」、連続して連想するものを「連続連想法」といいます。具体的には商標、ブランド名、会社名、広告などのイメージを測定するときに使われることが多いです。

今回の調査では、体験教室の前後に【海】という語からうかぶ様々なイメージを答えてもらい、体験によってそのイメージ語数やイメージのカテゴリーがどのように変化するかを調べています。

マインドマッピング(Mind Mapping)

マインドマッピング(Mind Mapping)もしくはマインドマップ(Mind Map)は、トニー・ブザンが提唱した、図解表現技法の一つです。ちなみに「マインドマップ」という呼称は、日本国内においてブザン・オーガナイゼーション・リミテッド社によって商標登録されています。

概要

表現したい概念の中心となるキーワードやイメージを図の中央に置き、そこから放射状にキーワードやイメージを繋げていくことで、発想を延ばしていく図解表現技法です。この方法によって複雑な概念もコンパクトに表現でき、非常に早く理解できるとされ、注目され始めています。 人間の脳の意味ネットワークと呼ばれる意味記憶の構造によく適合しているので、理解や記憶がしやすいと言われています。

今回の調査でも【海】という語を記入用紙の中心に置き、思いつくかぎりのイメージを答えてもらっています。

「海のイメージ調査」(評価シートPDF)

(2)調査結果(速報)

この調査では、連想語を「自然・地理」「感情・印象」「海洋問題・知識」「活動・仕事」「その他」の5つに分類し、その連想語の特別見学会前後における変化を調べています。(下図参照)

全体として連想語は増えており、とりわけ「活動・仕事」に関する連想語が大幅に増えています。これは事例1.の場合の調査結果と同様の変化であり特別見学会での体験が海に関わる活動や仕事についてのイメージ変化に大きく寄与し得ることを示し、興味深いものです。

(※現在、さらに詳しい分析を行っており、その結果はまとまり次第掲載予定です。)

【海に対するイメージ変化】

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【事後の連想語の例】

活動・仕事 釣り、浮き輪、航海、船長、ヨット、海上自衛隊、海上保安庁、漁業、神戸港、水族館、漁師、コンテナ、灯台、遊覧船 など
海洋問題・知識 エコ、200海里、海賊、海面上昇、地球温暖化、貿易、輸出入、地球環境、海洋汚染、生態系、海底ピラミッド など
感情・印象 青い、きれい、危険、大きい、協力、荒れる、気持ちいい、ゆれる、穏やか、世界中につながっている など
自然・地理 魚、イルカ、クジラ、マグロ、太平洋、大西洋、瀬戸内海、海草、砂浜、風、津波、ハワイ、カモメ、アホウドリ など

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