フォーラム・講演会

Forum

第30回海事立国フォーラム in 神戸2022
「今後の海事社会に向けた海事人材の育成と将来展望」

開催概要 新型コロナウイルス感染症の拡大等に伴い国際的な海上物流を担う船員をはじめ海事人材の必要性が広く認知され始めたところ、世界有数の海運国である日本においてはこれまでどのように船員を育成してきたのか、また、今後デジタル化、脱炭素化が急速に進むと見られる海事社会に向けて海事人材に期待される役割、又そのための育成方法はいかにあるべきかについて、船員教育界及び海運界の視点から展望を示す。
日時 2022年8月30日(火) 14:00 ~ 16:50
開催方法 実開催(YouTube配信あり)
場 所 神戸メリケンパークオリエンタルホテル4階「瑞天」
(神戸市中央区波止場町5-6)
主 催 公益財団法人 日本海事センター
後 援 国土交通省
開会のご挨拶

(公財)日本海事センター会長 宿利 正史

開会挨拶

開会挨拶動画

来賓のご挨拶

神戸市長 久元 喜造 氏

略歴

来賓挨拶動画

来賓のご挨拶

国土交通省神戸運輸監理部長 田淵 一浩 氏

略歴

来賓挨拶動画

ご講演

一般社団法人日本船主協会副会長 友田 圭司 氏

略歴

講演動画

ご講演

日本水先人会連合会専務理事 阪本 敏章 氏

略歴

講演動画

ご講演

(公財)日本海事センター主任研究員 野村 摂雄

略歴

講演動画

ご講演

(公財)日本海事センター専門調査員 田中 大二郎

略歴

講演動画

ご講演

神戸大学大学院海事科学研究科長 阿部 晃久 氏

略歴

講演動画

ご講演

日本郵船株式会社専務執行役員 小山 智之 氏

略歴

講演動画

パネルディスカッション及び質疑応答

ファシリテーター:関西大学名誉教授 神戸大学客員教授 羽原 敬二 氏

略歴

講演動画

閉会のご挨拶

(公財)日本海事センター理事長 平垣内 久隆

閉会挨拶

閉会挨拶動画

フォーラム動画
(通し)
https://youtu.be/vM9vYqSwT-8

当日のプログラム

第30回海事立国フォーラム in 神戸2022の開催結果(概要)

1.開催概要(総括)

今回の海事立国フォーラムは、国土交通省の後援を受け、地元の久元神戸市長と田淵神戸運輸監理部長にご来賓を賜るとともに、海事関係組織をはじめ、海運・海事教育機関、物流等の一般企業、個人など多くの方にご参加いただき、盛況のうちに終えることができました。また、YouTubeでの同時配信も多くの方にご視聴いただきました。なお、YouTubeではいつでも録画を視聴することができますので、ご覧ください。

講演会後の懇親会にも、多数の方にご参加いただき、熱心な意見交換が続けられました。盛山正仁衆議院議員(兵庫1区)には、挨拶と乾杯の音頭を取っていただきました。

ご参加あるいはご協力いただきました多くの関係者の方にこの場を借りて厚く御礼申し上げます。

 

2.講演会(議事概要)

(1)   主催者挨拶 (公財)日本海事センター会長 宿利正史

別添のとおり、開会挨拶が行われました。

(2)   来賓挨拶

     神戸市長 久元喜造氏

・神戸での開催及びコロナ禍等の影響を受け物流が混乱している中でのサプライチェーン確保に向けた関係者の尽力に感謝したい

・神戸市では、デジタルトランスフォーメーションによる港湾のオペレーションコストの低減、また港湾の脱炭素化に向けた水素を受け入れる港湾の整備等に取り組んでいる

・今回のフォーラムの成果に大いに期待している

との挨拶が行われました。

     神戸運輸監理部 田淵一浩氏

・海事産業従事者の人材の確保は大変重要

・このため、神戸運輸監理部では人材確保に向けた様々な取り組みを行っている

・今回のフォーラムが我が国の海事産業の明るい将来展望を示すことを期待したい

との挨拶が行われました。

(3)   基調講演

     「外航海運の現状と海事人材の課題」一般社団法人日本船主協会副会長 友田圭司氏(資料)

1日本海運の概観

2外航海運を取り巻く環境

3外航海運の主課題

4海事クラスターを支える海事人材像

5次世代を担う海事人材確保・育成の課題

について発表が行われました。

     「水先人の現状と求められる人物像」日本水先人会連合会専務理事 阪本敏章氏(資料)

   水先人と水先の歴史、水先人の人数推移、等級別免許制度と等級別水先人の割合について紹介が行われた後、水先人に求められる人物像について説明が行われました。

 

(4)「諸外国における船員教育の現状」日本海事センター主任研究員 野村摂雄(資料)、専門調査員 田中大二郎(資料)

  これまでの当センターにおける船員教育にかかる調査研究の全体像を野村主任研究員が紹介した後、田中専門調査員から「フランスにおける船員教育・海技資格制度」について紹介・説明が行われました。

 

(5)「神戸大学における海事・海洋人材の育成と今後の展望」神戸大学大学院海事科学研究科長 阿部晃久氏(資料)

  1神戸大学における海事海洋人材育成の歴史

  2学部の海事海洋人材育成

  3大学院の海事海洋人材育成

  4学部・研究科としての課題と今後の展望・展開

  について説明が行われました。


(6)「産業界が求める海事人材」日本郵船株式会社専務執行役員 小山智之氏(資料)

  日本商船隊の構成変化と外航日本人船員の減少等のこれまでの変化を受けて、日本人海技者が求められる役割の変質の状況について説明が行われました。

  そのうえで、今後クリーンビジネス分野やデジタライゼーション、バーチャルエンジニアリングなどの変化を見据え、現場の技術と経験を持った海技者が多くの場面で求められていること、また海技者は異文化や異質な考え方に対する包容力と柔軟性、リーダーシップ、マネジメント能力などが求められていることが説明されました。


(7)パネルディスカッション及び質疑応答

 関西大学名誉教授で神戸大学客員教授の羽原敬二氏をファシリテーターとして阿部氏、小山氏、野村主任研究員、田中専門調査員の4名をパネリストとしたパネルディスカッションが行われました。

(羽原氏)小山氏から「ライセンス(海技免状)教育をやめてJMETS(独立行政法人海技教育機構。練習船を用いた船上教育等を行っている。)へ任せてはどうか」との私案が示されたが、阿部先生の受け止めはどうでしょうか。

(阿部氏)神戸大学は海技者養成機関として文科省に認定されており、定員90名も埋められていない状況にあり、文科省には申し開きを行っている状況にある。新学部になってから学科の垣根を外したし、すべての学生にライセンスを取ってもらいたいと考えているわけではない。ライセンスを取ることはひとつの付加価値であり、取るかどうかは学生が決めること。ただ、我々としては学生が適切な進路を選択できるよう説明・指導は行っている。」

(羽原氏)小山氏にお尋ねしたい。JMETSは、練習船の燃料代などいろんな課題を抱えていると思うが、解決策についてはどのようにお考えか。

(小山氏)あくまで私案ではあるが、練習船での実習のタイミングが東京海洋大学と神戸大学では異なっていることなど、JMETSには調整が難しい問題があるため、ライセンス教育はJMETSへまとめたらどうか、との意見を持っている。練習船の多科・多人数配乗問題が解決しやすくなる。また、海事系大学の卒業生に対してはJMETS教育を1年間、その他の大学の卒業生に対してはJMETS教育を2年間と差をつけるなどの対応策はどうか。

(羽原氏)フランスの船員教育で日本が学ぶべきことはないか。

(田中)フランスの高等海事学校再編で注目されるポイントは2つあり、その1つは、エンジニア学校として再編したこと。陸上職への転職を容易にした。もう一つは船員教育を受けたい人がベルギーに流出する傾向があったが、英語での講義を増やし、国際的当直職員養成課程を設置するなどして、学生を取り戻した。

(羽原氏)他の国で参考になることはないか。

(野村)デンマークやノルウェーではあくまで「ライセンスはチケット」という形でとらえられており、本人も学校もずっと船乗りであることを想定しているわけではない。実際、海事行政や海事産業界の代表としてお会いする方には、船員としての経験をお持ちの方が多い。

(羽原氏)ここで事前の質問についてお答えをお願いしたい。「日本商船隊の9割は外国人船員ということで、質の水準の維持などに問題はないか」とのお尋ねだが。

(小山氏)講演でも触れたが、国籍にかかわらず品質の維持はすでにしている。マニュアルのほか研修、シミュレーターを使った講習などは行っている。自前で研修資材を持たない会社は国際的な研修インスティチュートを活用しており、他国と比べても安全レベルは高いと自負している。

(野村)業界が求める内容やレベルを把握して実践している教育・訓練機関は、外国人船員だからということでの不安はないと思う。

(羽原氏)「能力の高い学生を集める努力をするとともに、6年制の大学にしてはどうか」との意見がありましたが、いかがですか。

(阿部氏)新学部としては6年制を目指しているものであり、4年制を改組して大学院へつながるものにしている。このように、大学院を含めて6年で修めるようにカリキュラムは組んでいるところであるが、6年制とまではしていないのが現状である。

(羽原氏)次に会場からの質問を受け付けたい。

(会場からの質問者①)採用側の企業の視点は小山氏の言われたとおりだと思うが、大学としての教育・人材育成は企業視点と等価には議論できない。そもそも育成スキームが異なると思われる。そもそも一般大は母数を拡大しており、企業側も課外活動を経た人を採用しているように感じるが、JMETSは職業技術訓練のみであるから、人間形成は難しいと感じる。

(小山氏)自社養成で入社した方には、たしかに課外活動をしている人は多いが、必ずしも体育会系のみではない。神戸大学であれ東京海洋大学であれ、ライセンス教育を外せば、そうした課外活動を行う時間が増えて良いのではないかと思う。

(会場からの質問者②)阿部先生におうかがいします。神戸大学では文系学生にも門戸を広げたと聞くが、大学では理系の基礎知識も必要であり、授業や海技資格の取得のためにはどのような指導をされているのか。

(阿部氏)昨年度から文系入試を導入したが、文系数学は入試科目に課しており、ある程度の素養はある。心配はあったが、1年時の文系の成績は悪くなかったのでほっとしている。物理が嫌いな学生もいるかもしれないが、完全な文系でないことは周知しており、学生も理解はしていると思う。今後適切にサポートしていきたい。


(8)閉会挨拶 日本海事センター理事長 平垣内久隆

別添のとおり、閉会挨拶が行われました。

 

 

以上の講演の結果概要につきましては、主催者側(日本海事センター企画研究部)があくまで速報性を重視して作成したものですので、発言のニュアンス等を正確に再現できていない個所、あるいは重要な発言が欠落している箇所等がある可能性があります。

つきましては、発言の詳細や正確な発言を確認したい場合は必ずYouTubeを視聴してご確認いただくようお願いします。また、本結果概要の無断での転載等は控えていただくようお願いいたします。