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「JMC Workshop, Civil Liability for Autonomous Ship」を開催しました。

2026年10月6日(火)、千代田区麹町の海事センタービル会議室において「JMC Workshop, Civil Liability for Autonomous Ship」を開催しました。

1.登壇者
 ゲストスピーカー:Dr. Melis Özdel(University College London)
 ディスカッサント:南 健悟 氏(慶應義塾大学法学部教授)
   モデレーター:後藤 元 氏(東京大学大学院法学政治学研究科教授 )

2.開催概要

(1)プレゼンテーション: Dr. Melis Özdel
「AIシステムの製造者にどのような法的責任を負わせることができるか」

英国では商取引における製造物責任は、コモンロー上の過失責任法によって処理されている。荷主の立場からは、責任制限が存在する運送人を訴えるよりも、責任制限が存在しない製造者を訴えるインセンティブが働くかもしれない。欠陥のある製品が損害を引き起こしたかということは問われるが、さらに、英国法上、AI製造者に過失責任法が適用されるため、製造者が注意義務を怠ったかどうかも検討されなければらない。
過失責任法では、注意義務を負っている者に対してのみ損害の責任を負わせることができるが、AIシステムの製造者には注意義務を負わせるべきであろう。ただし、その場合でも、因果関係の証明は必要である。AIの文脈では中間的関与者が多いため、因果関係の立証は極めて難しくなるだろうが、第三者の関与で製造者が免責されるわけではないため、製造者と関与者の間で責任が分担される可能性が高い。また、AIの場合、当事者間における情報の非対称性が存在することから、事実の推定や立証責任の転換がなされる可能性がある。
そのほか、議論するべき論点として、①製造者による説明可能性欠如は「欠陥」と評価されるか、②因果関係の立証責任が製造者に転換されるのは、いかなる場合か、③厳格責任は製造者に対し安全性に向けたより良いインセンティブを与えるか、④商業貨物の損害は、人身損害など他の場合と同一の責任制度とするべきか等があげられる。加えて、AI製造者に責任制限制度を導入するべきかも論点となる。


(2)ディスカッサント:南 健悟 氏(慶應義塾大学法学部教授)
日本法は英国法と以下のような違いがある。
・ 製造物責任法は商業貨物の損害も対象(基本的には厳格責任)
・ 消費者保護の制度としてのみ位置づけられているわけではない。
・ 欠陥があること、損害が発生したこと、欠陥と損害の因果関係があることが証明されれば、製造者は責任を負う。
・ 製造者が免責されるのは製造者が欠陥を予測できなかった場合に限定される。
・ 予測可能性がなかったことの証明責任は製造者が負う。
・ 遠因性を理由とした責任制限はあり得ない。
これらを考えると、日本では製造者を訴えるインセンティブがより高くなると考えられる。それにより、MASSの安全性に向けたインセンティブが生まれ得るが、開発に対する委縮効果をもたらす恐れもある。日本の不法行為法の解釈の下で、なんらかの手当てが可能か、検討する必要がある。
Özdel氏の問いに対しては、①「欠陥」と評価されるだろう、②情報の偏在がある場合には厳密な因果関係の立証までは求められない可能性がある、③日本の製造物責任は過失推定責任に近いと理解されている。一般論として、過失責任主義よりも厳格責任の方が安全性向上へのインセンティブを与えやすいと言われている。④変えるべきではないと思う。
責任制限がない製造者には、リスクの負担がより重くかかることは確かであろう。製造者に厳格責任を課すのであれば、責任制限を認めることが望ましいのではないか。

(3)質疑
阿部阪田法律事務所の池山弁護士、横浜国立大学の笹岡教授、一橋大学の得津教授、日本海事協会の四居主事から質問が出されて、Özdel氏から回答がなされるなど、有意義な意見交換となった。

Dr Melis Özdel氏
Dr Melis Özdel氏
ディスカッサント風景
ディスカッサント風景
質疑応答の様子
質疑応答の様子

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