第36回海事立国フォーラム in 長崎 2025
「海事クラスターの活性化、強靭化に向けた将来展望 ~カーボンニュートラルを起点とした長崎の発展を目指して~」
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| 開催概要 | 長崎は海洋国家日本を代表する地域であり、海外との貿易や交流の重要拠点として発展するとともに、国内でも有数の造船業集積地として、裾野の広い海事産業が展開され、国内を代表する海事クラスターが形成されてきました。 近年では、カーボンニュートラルの実現に向け、洋上風力発電など海洋エネルギー関連産業の形成や、人材の育成・確保に向けた取組が進められ、また、世界的なコンテナ会社ONE等が出資したグローバル企業が発足するなど、長崎の新しい取組に全国から期待と注目が集まっています。 我が国では、海事産業における国際競争力の強化を通じて我が国経済の発展を支えるとともに、海事クラスターに改めて注目し、地域経済を発展させることが極めて重要となっています。こうした中、いわゆる骨太の方針2025で、日本の造船業を再生し、海運業や造船業を中核とする海事クラスターを強靭化する方針が示されました。そこで、海事クラスターの活性化、強靭化に向け、海事産業の国際競争力強化に資する取組等について展望します。 |
| 日時 | 2025年11月14日(金) 14:00 ~ 18:00 |
| 開催方法 | 実開催(YouTube配信あり) |
| 開催場所 | THE GLOBAL VIEW長崎 3階プレミアホール |
| 主催 | 公益財団法人 日本海事センター |
| 後援 | 国土交通省 |
| 開会挨拶 | |
| 来賓挨拶 |
![]() 長崎県知事 大石 賢吾 氏 |
| 来賓挨拶 |
![]() 長崎市長 鈴木 史朗 氏 |
| 来賓挨拶 |
![]() 九州運輸局長 日向 弘基 氏 |
| 講演 | |
| 講演 | |
| 研究発表 | |
| 研究発表 | |
| モデレーター | |
| パネリスト | |
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| パネリスト |
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| パネリスト | |
| パネルディスカッション |
![]() 「海を基盤とした産業振興と地域活性化」を題材にしたモデレーターとパネリスト5名によるディスカッション |
| 閉会挨拶 | |
| フォーラム動画 (通し) |
https://youtu.be/ydlp6Wm0mag |
登壇者 略歴

(公財)日本海事センター会長
宿利 正史
1974年3月東京大学法学部卒業。1974年4月に運輸省(現:国土交通省)に入省。運輸大臣秘書官、航空局審議官・監理部長・次長、大臣官房総括審議官、自動車交通局長、総合政策局長、大臣官房長 、国土交通審議官、事務次官を歴任。1984年から1987年まで在インドネシア日本国大使館一等書記官、1991年から1995年まで内閣法制局参事官を務めた。2013年8月から東京大学公共政策大学院客員教授(交通政策)、2014年4月から一般社団法人国際高速鉄道協会(IHRA)理事長、2018年6月から一般財団法人運輸総合研究所会長、2021年6月から公益財団法人日本海事センター会長を務める。

長崎県知事
大石 賢吾 氏
2006年6月カリフォルニア大学デービス校卒業。2007年4月長崎大学熱帯医学研究所勤務。2012年3月千葉大学医学部医学科卒業。2012年4月千葉大学医学部附属病院初期臨床研修プログラム。2018年3月千葉大学大学院医学研究院博士課程修了。2020年4月厚生労働省医政局地域医療計画課救急・周産期医療等対策室室長補佐(新型コロナウイルス対策推進本部医療班兼務)。2021年4月国立研究開発法人日本医療研究開発機構革新基盤創成事業部事業推進課課長。2022年3月長崎県知事。

長崎市長
鈴木 史朗 氏
1991年3月東京大学法学部卒業。1991年4月運輸省(現・国土交通省)入省。2008年7月内閣府国際平和協力本部事務局調査官。2010年9月観光庁企画室長。2014年1月関東運輸局企画観光部長。2015年4月海上保安庁警備救難部国際刑事課長。2017年9月内閣府地方創生推進事務局総括参事官。2019年7月海上保安庁総務部参事官(警備救難)。2020年7月第五管区海上保安本部長。2022年6月九州運輸局長。2022年12月国土交通省を退職。2023年4月長崎市長に就任(現在に至る)。

九州運輸局長
日向 弘基 氏
1993年3月東京大学法学部卒業。1993年4月運輸省入省。2001年5月鉄道局総務課長補佐。2003年6月山口県地域振興部情報企画課長。2005年4月総務省自治財政局調整課課長補佐。2007年7月自動車交通局総務課財務企画官。2008年7月九州運輸局自動車交通部長。2016年6月防衛省防衛政策局訓練課長。2018年6月政策統括官付政策評価官。2020年7月内閣府地方創生推進事務局参事官。2022年6月海上保安庁総務部参事官(海洋情報部担当)。2025年7月九州運輸局長。

(株)大島造船所代表取締役副社長
竹山 仰 氏 ※ご都合により登壇者が変更となりました。
1982年3月早稲田大学法学部卒業。1982年4月株式会社大島造船入社。1996年4月株式会社大島造船企画部企画グループ課長。1999年7月株式会社大島造船企画部部長代理。2004年7月株式会社大島造船企画部長。2009年6月株式会社大島造船取締役。2014年6月株式会社大島造船常務取締役。2020年6月株式会社大島造船専務取締役。2024年6月株式会社大島造船代表取締役副社長(現在に至る)。

(公財)日本海事センター研究員
坂本 尚繁
東京大学教養学部卒業。東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了。
東京大学大学院総合文化研究科博士課程満期退学。大学院では国際法・国際環境法を専攻。2020年4月から現職。企画研究部において洋上風力発電、海運環境政策などの調査研究業務に携わる。所属学会は、国際法学会、日本海洋政策学会。

(公財)日本海事センター研究員
後藤 洋政
慶應義塾大学商学部卒業、慶應義塾大学大学院商学研究科前期博士課程修了。修士(商学)。2019年4月から日本海事センター専門調査員。2020年4月から現職。企画研究部において、国際海上コンテナ輸送の統計調査や海運・物流に関する経済分析などの調査研究業務に携わる。所属学会は、日本交通学会、日本海運経済学会。東京交通短期大学で非常勤講師を務める。

長崎県立大学経営学部国際経営学科教授
山本 裕 氏
1987年3月立教大学法学部法学科(政治学専攻)卒業。2010年9月神戸大学経済学研究科博士後期課程経済システム分析(修了)。1989年~2011年米海運のアメリカンプレジデントラインズに勤務。2018年9月~2019年2月The Netherlands Erasmus School of Economics visiting schalor留学。
2011年4月~2014年3月長崎県立大学准教授、2014年4月~同大学教授(継続中)、2015年4月~2018年3月同大学東アジア研究所長。
外航海運で20年以上のキャリアがあり、研究領域は交通経済学の海運経済分野。学部と大学院での講義は物流を中心に行う。修士では海運経済、物流・ロジスティクス・サプライチェーンを、博士では海運経済学(Maritime Economics)を指導する。海運経済の領域は海運政策と競争法、海運市場の関係や港湾ガバナンス、海運史(主に太平洋航路)等。これまで、国や地方の多くの港湾管理者等の委員を務める。

長崎県産業労働部新エネルギー推進室室長
石川 拓朗 氏
1997年長崎県庁入庁。2019年産業労働部企業振興課課長補佐。
2022年産業労働部総括課長補佐。2023年産業労働部企画監。
2025年産業労働部新エネルギー推進室室長。

(株)商船三井エネルギー事業本部カーボンソリューション事業開発ユニット兼燃料GX事業部シニアエキスパート
田口 真一 氏
1991年大阪商船三井船舶株式会社入社。横浜臨港店/コンテナ船事業/自動車船事業/技術部/営業調査室にて勤務。その間に独・南ア・米国にて研修・駐在。その後、再び自動車船部でのシステム構築業務を経て、5年前より次世代エネルギーバリューチェイン構築を中心に、社会と国際海運のネットゼロエミッション達成を目指す当社環境ビジョン実現に関わっている。長崎県出身。大阪大学基礎工学部卒業 / 東京工業大学 環境社会理工学院 技術経営専門職学位課程修了。技術経営修士、(一社)日本LCA学会正会員。

ONE DEJIMA(株)代表取締役社長
遠山 直人 氏
1997年いすゞ自動車入社、本社及び海外子会社の会計システム展開に従事。2005年商船三井へ入社、完成車輸送事業、情報システム部門、定航事業に携わり、2016年にはOcean Network Express(ONE)の統合プロジェクトに参画。2023年12月、同社を退社。2024年1月にONE Japanに入社。同年2月より現職。これまで、タイ、香港、シンガポール在住歴あり(通算9年半)。経済学修士 (1997年、早稲田大学)、技術経営修士(2024年、東京工業大学(現: 東京科学大学))

(株)澤山商会代表取締役社長(国際港湾協会日本会議理事)
中村 禎二 氏
2005年6月株式会社澤山商会入社。2015年4月株式会社澤山商会常務執行役員。2018年6月株式会社澤山商会執行役員副社長。2020年6月株式会社澤山商会 代表取締役社長(現在に至る)。
2021年8月長崎県貿易協会理事。2021年5月長崎港コンテナターミナル運営協会理事。2022年6月長崎県南部排出油等防除協議会監事。2022年3月長崎日伊協会理事。2022年7月長崎通関業会理事。2022年6月長崎通関業会理事。2023年10月特定非営利活動法人長崎海運人材育成協会副理事長。2024年7月IAPH国際港湾協会日本会議理事。

NPO法人長崎海洋産業クラスター形成推進協議会 副理事長/エグゼクティブコーディネーター
松尾 博志 氏
東京大学理科1類に進学、船舶海洋工学科、及び大学院環境海洋工学専攻を卒業。大学院卒業後は株式会社野村総合研究所で10年間、経営コンサルタントとして、大手製造業の経営計画の策定などの業務を行った。2011年に東京で東日本大震災を経験し、福島原子力発電所の事故を見たことで、再生可能エネルギーへのシフトが進むと考え、洋上風力発電や潮流発電等の海洋再生可能エネルギーの導入に向けて活動を行うために、翌年2012年に東京から地元長崎市にUターンして活動を開始した。現在はNPO法人 長崎海洋産業クラスター形成推進協議会の副理事長、エグゼクティブコーディネーターとして様々なプロジェクトを支援し、また長崎海洋アカデミーの講師も務める。長崎県長崎市出身。

(公財)日本海事センター理事長
平垣内 久隆
1985年東京大学法学部卒業。1985年運輸省(現:国土交通省)に入省。鹿児島県警察本部警務部長、(独)日本政府観光局米州統括事務所代表(ニューヨーク)、国土交通省大臣官房会計課長、航空局航空ネットワーク部長、大臣官房審議官(国際航空・空港コンセッション担当)、航空局次長、内閣官房内閣審議官(内閣官房東京オリンピック・パラリンピック推進事務局 統括官)、内閣府総合海洋政策推進事務局長を務めた。2021年10月に公益財団法人日本海事センター理事長に就任。
第36回海事立国フォーラム in 長崎 2025の開催結果(概要)
第36回海事立国フォーラムin長崎2025
結果概要
1.開催の概要
令和7年11月14日、長崎県長崎市THE GLOBAL VIEW長崎3階「プレミアムホール」において第36回海事立国フォーラムin長崎を開催しました。
当日は、「海事クラスターの活性化、強靭化に向けた将来展望 ~カーボンニュートラルを起点とした長崎の発展を目指して~」と題して、200名近い参加をいただき、YouTubeでもリアルタイム配信を実施し、盛況裡の開催となりました。
2.講演内容
【開会挨拶】 (公財)日本海事センター 会長 宿利 正史
(別添参照)
【来賓あいさつ】
長崎県知事 大石賢吾氏
長崎市長 鈴木史朗氏
九州運輸局長 日向弘基氏
上記の三人の方から、以下の通りあいさつをいただきました。
・長崎県の造船業は県を代表する基幹産業であり、県では長崎県造船振興連絡会議を設置して2030年に5,500億円規模の売上目標を掲げ、産官学が連携しての取組みを進めています。長崎は島が多く広大な海域を持つ“海洋県”として、浮体式洋上風力など海洋エネルギー導入の大きなポテンシャルを有しており、県の産業や人材を活かしたサプライチェーンの構築を目指し、促進区域や準備区域で複数のプロジェクトが進行中です。
・長崎市にとって海事分野は歴史的な発展の源であり、現在は日本成長戦略本部の設置や日米造船覚書など国の政策による海事クラスターへの追い風の中、造船・港湾・海洋が高市政権の重点投資分野に位置付けられています。県では人口減少という課題はあるものの、「海とのつながり」を活かした地域成長が期待されており、本フォーラムのような全国の関係者との意見交換が、海を通じた発展のヒントとして重要と考えています。
・国としてもゼロエミッション船の導入支援や洋上風力の導入促進などのカーボンニュートラルに係る取組みや、長崎県造船振興連絡会議を通じた建造能力の強化、人材の確保・育成に向けた取組みを進めており、長崎県・市町・企業がこれと連携しながら海事クラスターの強靭化、次世代への技術継承と発展を行っていくことが期待されます。
【講演】「海事立市「長崎」の挑戦」
長崎市長 鈴木史朗氏
鈴木市長からは、以下の点を中心に長崎市の発展に向けた取組みについて紹介が行われました。
① 長崎の地政学的位置、長崎港の歴史、長崎港と造船業の歴史、長崎港の概要、長崎市の主な造船会社、長崎市の人口減少の状況(逆三角形型の人口ピラミッド、高齢化、ピークから1/4への少子化)、長崎の人口の推移(自然動態、社会動態、近年の転出超過の改善)など長崎市の概況について
② 重点プロジェクトアクションプラン、交流の場、資源の活用(長崎BLUEエコノミー・さしみシティ)、成長分野の強化、長崎港の環境・再生可能エネルギー分野への挑戦(洋上風力分野、海洋人材の育成(洋上風力発電訓練施設)、脱炭素先行地域採択)、基幹産業の現況と経済再生の動き、造船業の更なる振興(長崎市の造船業の概要、長崎市の造船業振興に向けた課題の整理、造船業再生に向けた政府の動向)、海洋・ものづくり分野におけるポテンシャル、産学官連携によるカーボンニュートラルの取組、成長分野の強化(成長企業の誘致、コミュニティ醸成に向けた取組)、長崎市×民間企業の連携など海洋都市長崎の発展に向けた取組みについて
③長崎市における海洋産業の課題と促進策など今後の展望、「海のポテンシャルを活かして、人口減少問題を克服へ」について
【講演】「大島造船所の今後の事業展望について」
(株)大島造船所代表取締役副社長 竹山仰氏
竹山代表取締役副社長からは、下記の点を中心に、大島造船所の今後の展望について説明が行われました。
① 大島造船所の概要、製造拠点の説明(大島工場、香焼工場)、大島造船所の建造船種と隻数の歴史、人員・建造量の推移、世界シェアの推移等について
②大島・香焼の目指す生産モデル、香焼工場におけるドックゲート増設構想(縦列建造を実現)、香焼工場における浮体式洋上風力発電基礎の製造、鉄構事業(橋梁、水門・海洋構造物)について
② 地域振興に向けた自治体との連携、西海市の定住促進の取組み、地域への貢献、教育機関との連携、大島造船所の外国人労働者の実態と外国人労働者の地域に対する奉仕活動、「労働力は一朝一夕では養成できないこと」について
【研究発表】 「洋上風力発電と海運について」
(公財)日本海事センター研究員 坂本尚繁
当センター坂本研究員からは、以下の点について説明を行いました。
・洋上風力発電に関する海外の動向
・洋上風力発電に関する日本の動向
・洋上風力発電事業で用いられる船舶
・洋上風力発電と航行船舶との調整の取組み
【研究発表】 「長崎の海事産業の集積と経済規模」
(公財)日本海事センター研究員 後藤洋政
当センター後藤研究員からは、以下の点について説明を行いました。
・海事クラスター調査の概要
・長崎県と海事産業の概況
・海事クラスターの規模・波及効果の推計
・まとめと今後の課題
【パネルディスカッション】
「海を基盤とした産業振興と地域活性化」
モデレーター:長崎県立大学経営学部国際経営学科教授 山本裕氏
パネリスト:長崎県産業労働部新エネルギー推進室室長 石川拓朗氏
(株)商船三井カーボンソリューション事業開発ユニットシニアエキスパート 田口真一氏
ONE DEJIMA(株)代表取締役社長 遠山直人氏
(株)澤山商会代表取締役社長(国際港湾協会日本会議理事)中村禎二氏
NPO法人長崎海洋産業クラスター形成推進協議会副理事長/エグゼクティブコーディネーター 松尾博志氏
長崎県立大学の山本教授をモデレーターとして、まず自己紹介とパネルディスカッションの趣旨等の説明が行われた後、各氏からそれぞれ資料に基づき、
・山本教授より、港湾・海運に関するこれまでの取組み・研究・業績についての説明
・石川室長より、長崎県における洋上風力等の海洋エネルギー関連産業に関するサプライチェーン構築等の取組みの説明
・田口氏より、長崎県における商船三井グループの歴史、2050年カーボンニュートラル社会実現に向けた社会動向を踏まえた商船三井グループの取組みの説明
・遠山社長より、ONE DEJIMAの設立背景、現状と目指す未来像、企業の特徴、長崎活性化の視点におけるONE DEJIMAの取り組みの説明
・中村社長より、澤山グループの歴史と概要、風車メンテナンス事業、洋上荷揚げサポート事業の説明、
・松尾氏より、長崎海洋産業クラスター形成推進協議会の概要、長崎海洋アカデミーの取組み、洋上風力発電の訓練施設であるNOA TRAININGの取組みの説明が行われた後、質疑応答が行われました。
⑴ 【モデレーターからの質問】
モデレーターとパネリストでの質疑応答の概要は以下の通りでした。
・モデレーターから石川室長、遠山社長、中村社長への質問
長崎県の海事クラスターの活性化に向けた課題はなにか?
・石川室長からの回答
長崎県の海事クラスターでは、サプライチェーンの構築に向け取組みが進められているが、まだまだこれからという状況。特に洋上風力発電は部品点数が多く、かつ高額であることを踏まえて地元企業の参入に向けた視点や、国が掲げる国内調達率65%の目標に向けて本県として存在感を示していくための方策、国内では地域間での競争と協働の両立が重要であるとともに、海外案件の受注を通じて長崎のプレゼンスを示していくための注意点などが課題になる。
・遠山社長からの回答
活性化という観点では、人材を呼び込み、多様なタレントが集まる魅力ある地域づくりが重要である。そのためには長崎の知名度・認知度を高めるとともに仕事の魅力を適切に伝える・アピールしていく必要もある。また、長崎の観光資源の有効活用や、人口流入に伴う住宅問題、交通利便性の確保も、クラスター形成における重要な課題となっている。
・中村社長からの回答
地域としての課題として、長崎は造船業が強い一方で、シップファイナンスの弱さを感じている。長崎で船主企業を育成していく必要があり、法務面も含めて地元企業との連携を深める仕組みづくりが求められる。
・モデレーターから松尾氏、田口氏への質問
今挙がった課題について、何か示唆できることはあるか。
・松尾氏
地域間連携の観点では、近隣の北九州では基礎的構造物の製造、長崎は浮体式洋上風力の製造や積出港としての機能・能力に強みがあり、両者は相互補完関係にある。洋上風力の工事が始まることで、事業者がブランド化し、関連する企業・産業が集積してマーケットの裾野が広がることで波及効果が生まれる。洋上風力発電を軸とした産業クラスターが育つことが望ましい。
・田口氏
今治の船主は規模が大きく、歴史的な経緯の中で独自の発展を遂げてきた。洋上風力に関連してはCTV(作業船)の需要も増しており、今後はメンテナンス分野や大学との連携強化が重要になる。また長崎は造船や海洋構築物の組み立てなどにも強みがあり、そこにITなども活用しつつ、様々な分野との連携を行うとともに、人材の多様性・育成を確保していくことが重要と思う。
⑵ 【会場からの質問】
会場からパネリストへの質疑応答の概要は以下の通りでした。
・質問
長崎の海事クラスター形成において、人材の多様性をどのように確保するのか。他地域との比較の中で、地域内の横のつながりで解決できる課題はあるか
・田口氏
英語対応や技術的サポートなど、共通化できる領域は知見を共有していくことが重要である。特にCTV関連のノウハウは横展開が可能であり、地域全体で対応力を高めていく必要がある。
・モデレーター
長崎ならではの魅力を生かした長崎らしい海事クラスター形成が重要である。集約できる部分は整理しつつ、地域の個性を発揮する形でのクラスター構築が望ましい。
・田口氏
オランダ・ロッテルダムのように「港と生きる」文化を持つ地域と比べると、長崎は「海洋県」と言いながら、市民の海への意識がまだ必ずしも高くないと感じる。地域の海洋リテラシー向上も今後の課題であり、もっと海洋県ということをアピールする取組みが必要ではないか。
【閉会挨拶】 (公財)日本海事センター理事長 平垣内 久隆
(別添参照)
(注)以上の講演の結果概要につきましては、主催者側があくまで速報性を重視して作成したものですので、発言のニュアンス等を正確に再現できていない個所、あるいは重要な発言が欠落している箇所等がある可能性があります。
つきましては、発言の詳細や正確な発言を確認したい場合は必ずYouTubeを視聴してご確認いただくようお願いします。また、本結果概要の無断での転載等は控えていただくようお願いいたします。
(以上)

















